■2004/08/31 (火) 選手会ストライキに高い支持

 プロ野球パ・リーグの近鉄球団とオリックス球団の合併をめぐって、労働組合である日本プロ野球選手会が「強行するならストライキも辞せず」の構えを示して注目を集めています。
 世論の反応をみると、共同通信社の調査によれば約69%、朝日新聞社の8月の調査でも約63%が「ストライキ支持」の立場をとっているそうですから、かなりの支持を受けているといえるでしょう。
 たとえば、同じプロスポーツでいえば、1999年に関東労、全馬労、トレセン労など日本中央競馬会の厩務員組合がストライキを打って土日開催が日月開催となったことがありましたが、このときのファンやマスコミの反応はいたって冷淡なものでした。アメリカでは大リーグやNBAでストライキが行なわれていますが、これらも世間の支持を得ているとはいえません。それに較べれば、驚くべき高い支持だといえるかもしれません。
 ちなみに、朝日新聞は6月、7月にも同様の調査を行なっており、ストライキ支持は7月の59%から63%に増加。1リーグ制への支持は6月34%→7月13%→8月9%と一気に低下しており、逆に2リーグ維持は40→70→73と急上昇しています。意思統一の遅れ、対応のまずさ、スカウト活動をめぐるスキャンダルや大物オーナーの「たかが選手」発言といったオーナーサイドのお粗末さによる「敵失」による部分もあるでしょうが、そうした経過のなかで世間のこの問題に対する理解が進み、結果として選手会への支持が高まったということもあるのではないでしょうか。
 現状をみると、オーナーサイドは実質的な議論を行なう場を設けることを拒んでいるという段階で、建前や理屈は別としても、これはさすがにいささか誠実さに欠く姿勢であるように思われます。これでは、選手会が対決姿勢を取らざるを得ないのも致し方のない部分が大きいのではないでしょうか。もちろん、ストライキなどの紛争は避けられるにこしたことはないわけで、オーナーサイドには世論の動向を冷静に受け止め、「選手会に負けたのではない。ファンの意見にこたえたのだ」という度量を示してほしいものです。

■2004/08/30 (月) 労務屋がみたヤマト運輸「抗議広告」

 金曜日の全国紙に、ヤマト運輸の大きな意見広告が掲載されていたのには驚きました。ローソンが求めていた店頭での宅急便とゆうパックの併売に応じず、撤退を決定したことに関するもので、「撤退によってお客様に不便をかける」ことへのお詫びという趣旨になっています。
 とはいえ、内容的には、郵政公社が各種の優遇を受けながら、民業に進出してくる「不公正競争」への抗議という色彩が強いものです。たしかに、一部事業で独占を認められ、税制も優遇されている郵政公社が、民間より安価な価格を設定して新規分野に参入することがフェアであるとは到底考えにくく、ヤマトの主張は納得いくものがあります。そもそも宅急便という商品自体が、郵便小包と競合するものとして行政によるさまざまな事実上の妨害と戦いながら出来上がってきたものであり、とりわけヤマトはその草分けとして奮闘してきたとの自負があるでしょうから、怒りもひとしおだろうと思います。
 広告はローソンには表立って批判はしていませんが、「このわたしたちの市場に、日本郵政公社がローソンを足がかりに入ってこようとしています。」との文言には、ローソンに対する非難も十分に感じられます。まあ、ローソンとしては自分が儲けるためには当然の判断ということかもしれませんが、小口荷物便をめぐる過去の経緯は当然承知しているでしょうから、民間経営者としてはいささか志の低い判断のようにも思えます。ローソン社長の新浪氏は、就任当初はニューウェーブ経営者として期待を集めましたが、私としてはいささか失望の念を禁じ得ません。
 ちなみに、これは某運送会社(ヤマトではない)の人から聞いた話なので本当かどうかは確実ではありませんが、郵政公社の配送車には一方通行や進入禁止などの交通規制が(一部?)適用されないのだそうです。これは当然、現場の荷扱い作業の利便性に影響します。もちろん、トータルでみれば大きな影響ではないかもしれません。しかし、現場で働くドライバーたちからみれば、非常に不公平感が強いというのも納得できるところです。案外、現場の士気を維持していくためにも、郵政公社には簡単に妥協できないという事情もあるのではないかと、労務屋としては考えました。

■2004/08/27 (金) 雇用情勢は回復基調変わらず

 きょう発表された7月の完全失業率は、4.9%と0.3ポイント上昇しました。このところ、失業率は順調に低下していただけに、ちょっと気になる結果です。
 もっとも、有効求人倍率は0.83倍とわずかながら改善を続けていますし、新規求人は10%を超える大幅な増加となっています。足元の状況をみても、6月から7月にかけて季節調整値で就業者も雇用者も増えていますし、雇用情勢が基本的に回復基調にあることには変わりないと見ていいのでしょう。
 完全失業者は実数で6月の309万人から7月は318万人と9万人の増加となっていますが、内訳をみるとそのうち5万人は「定年等」の増加です。「勤め先都合」は90万人で横ばい、「自己都合」が107万人で6万人増、「学卒未就職」が3万人減、「新たに収入が必要」が4万人減、「その他」が2万人増となっています。定年の増加は問題とするにはあたりませんし、自己都合が増えているのも、基本的にはそれほど深刻に受け止める必要はないでしょう。学卒未就職が1割近く減ったことも好ましく、やはり今回の失業率上昇はそれほど心配する必要はなさそうです。
 厚生労働省は、前年同月比で「勤め先都合」が21万人の減少,「自己都合」が4万人の増加となっていることを受けて「景気が回復する中、より良い仕事を探す人が一時的に増加したためで、雇用情勢は改善基調にある」との見解を示しているそうですが、これは合計特殊出生率低下の言い訳とは違って、額面どおり受け止めてよさそうに思います。

■2004/08/26 (木) 過労運転下命で書類送検

 今年3月、過労運転のトラックが追突して7台の玉突き事故を起こし、3人が死亡、2人が負傷する事故がありました。時事通信ニュースによりますと、神奈川県警はこの事件について、運送業者の社長を道路交通法違反で書類送検したそうです。
 すでに運転手は業務上過失致死傷で起訴されており、公判でも過労で居眠り運転していたことを認めています。その勤務実態は、「事故前の1カ月間で、休日が2日しかなく、一日平均13時間半働いていた。約36時間にわたって連続勤務したこともあった」という過密なものだったとのことで、今回の起訴は会社がそれを知りつつ運転を命じた「過労運転下命」があった、ということによるもののようです。
 書類送検されたということは、おそらくはこの運転手に限らず、看過できない程度に過労運転が行なわれていたということでしょう。この「過労運転下命」は、先般の道路交通法改正で、従来の6か月以下の懲役又は10万円以下の罰金から、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金へと厳罰化が行なわれていますから、これからも同種の事例については厳しい対処がとられるのではないでしょうか。
 グローバルな低価格競争の影響もあり、運輸業界も顧客から単価の引き下げを求められることが多いそうです。いきおい、運転手も従来に較べて過密な就労になってしまうのかもしれません。しかし、過労運転は労災の原因となるだけではなく、無関係の第三者を死傷させることにもつながります。刑事罰があるからということではなく、事業主はきちんとした管理を行なうことが必要でしょう。

■2004/08/25 (水) アテネ五輪

 オリンピック関連の小ネタをふたつ。

 男子体操の団体で日本が優勝しましたが、個人では日本人の優勝はひとつもなく、種目別で3つのメダルを獲得するにとどまりました。このギャップの大きさは、いかに日本団体チームがある程度のハイレベルで粒が揃っていたか、ということだろうと思います。ビル・ゲイツのような傑出した個人は出ないけれど、地道なチームワークで世界一の高品質を実現する。日本の経済、産業に通じるものがあるなあ、と妙に感心してしまいました。

 野球の敗退は残念でしたが、チーム競技でありながら「投手」という個人に相当部分を依存する野球というスポーツの特異性が出た、ということでしょう。野球は基本的に番狂わせの出やすいスポーツであり(関係者には失礼ですが、オリックスだってダイエーや西武に連勝することもあるわけで)、一発勝負では必ずしも力どおりの結果がでるわけではないと思います。そう考えると、五輪をあまりにも神聖視し、神格化するのはいかがなものかと思います。

■2004/08/24 (火) 労働運動の原点

 昨日に続いてスポーツネタです。この夏、どうしたことか西武ドームと千葉マリンスタジアムで野球観戦する機会に恵まれました。行ってみて驚いたのが、球団合併・1リーグ化に反対する署名運動です。ニュースなどで「やっている」ということは知っていましたが、あれほど必死でやっているとは思いませんでした(とりわけ、現にダイエー球団との合併・福岡移転がまことしやかに言われるロッテ球団のファンは声を嗄らして「来年も千葉で試合を見たい!」と叫んでいました)。オーナーサイドの姿勢からして、いかに署名を集めても結論は変わりそうにありませんが、無償(だと思う)であそこまで一生懸命やれるというのには頭が下がります。
 さらに驚くのは、ファンにまじって選手たちまでが署名を集めていることです。パ・リーグの場合、オーナーサイドが球団合併・1リーグ化を積極的に推進しているのに逆らって、しかも非常に目立つ形での行動をとっているのですから、その勇気はなかなかのものと評価すべきでしょう。
 きのう、日本プロ野球機構(NPB)と、労働組合であるプロ野球選手会との「協議・交渉委員会」が行われたそうです。選手会サイドは手続きを経てスト権を確立しているそうですから、まさに集団的労使交渉の核心たる「協議・『交渉』」に踏み込んできているわけです。その基盤には、使用者=オーナーサイドの意向にもかかわらず署名運動に取り組む選手=組合員たちの高い参加意識がありますから、これはオーナーサイドにとってもなかなか手ごわいものがあるといえましょう。
 ストをする、しないといった表面的な問題ではなく、昨今の労働組合が見失ってしまった労働運動の原点、本質を見せつけられるような思いがしました。

■2004/08/23 (月) よかった、よかった

 7月、8月と更新もままならぬ日々でしたが、ようやく落ち着いてきましたので、「吐息の日々」も再開したいと思います。
 アテネ五輪では日本選手が期待を上回る(?)健闘をみせてくれていますが、きのうは女子マラソンでグローバリーの野口選手がみごとに優勝しました。このホームページでも、「労働雑感」で女子マラソンの代表選考を題材に取り上げましたので、気にしていたのですが、すばらしい結果となったことはまことにご同慶といえましょう。さらに、残る2選手も5位、7位と健闘し、日本代表は立派なパフォーマンスを見せてくれました。
 代表選考にあたった陸連としても、おおいに喜ぶとともに胸をなでおろしていることでしょう。まあ、野口選手は世界選手権2位で、他に先んじて代表内定していたわけで、世に議論をおこした残り2人の選考と無関係といえば無関係ではありますが、なにしろ結果がすべてのスポーツの世界、とりあえずいまはあまり細かいことは言いっこなし、でいいのではないでしょうか。むしろ、前回シドニーでは世界選手権優勝で恣意的に(笑)、というか少なくとも予定外に市橋選手を代表内定したところが結果は必ずしも思わしくなかったわけで、今回それを追認した形で内定した野口選手が優勝したということですから、これはこれで陸連にとってよかったのではないでしょうか。
 いずれにしても、これで日本としては五輪連続優勝。三連覇に向けて、女子マラソンがおおいに振興することを期待したいものです。

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