コーポレート・ガバナンス
 「コーポレート・ガバナンス」という言葉は、平成5〜6年頃から流行りだしたと思う。当初は、「企業統治」とか「企業ガバナンス」などとも言われていた。
 もともとは、企業不祥事が相次いだことから、経営上の不正などを起こさないという観点から言われだしたのだが、それがいつのまにか「株主の利益を重視せよ」という配分論になり、さらに「株主の利益を増大させよ」という経営論になり、ひいては「経営者は株主の利益のみを考えて行動すれば結果として企業の効率も最大となる」という効率論にまで進化した。さまざまな場面で、とにかく一時的にでも株価が上がればそこで売り抜けたい投資家やそのちょうちん持ちのアナリスト、経営責任を逃れたい経営者、売名したい評論家などなど、さまざまな人々の利害によって、いいようにもてあそばれてきた感すらある。実際、労働組合(というか、社会経済生産性本部だが)すらも、企業不祥事に乗じて、ドイツ型のコーポレート・ガバナンスの導入を提言したりしている。株主重視がグローバル・スタンダードであるなどという大ウソがまかり通ったり、まことに混乱きわまりない状況である。
 私は以前、某アナリストが「要するに、ダメな社長のクビをすげかえるしくみ」だと云うのを聞いたことがある。まあ、「ダメ」の定義にもよるが、そうとも言えるのだろう。いずれにしても本当に企業の成長や発展を考えた議論というのは本当に少ない。伊丹敬之著「日本型コーポレートガバナンス」は、数少ない良心的な業績と云えるだろう。
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