解雇権濫用法理
 解雇が「著しく不合理であり社会通念上相当なものとして是認できない」場合は権利の濫用として無効であるとする判例法理。ちなみに、整理解雇の4要件は、この法理の中で、「労働者には何ら非がないにもかかわらず、経営上の都合で解雇する場合の、『合理的かつ社会通念上相当』を判断する基準である。
 ありていに言えば、解雇するにはそれなりの理由と根拠が必要ですよ、ということで、「気に入らないからクビ」などの恣意的な理由ではもちろんのこと、それなりの悪事を働かない限りはクビにはされない、ということを言っているわけで、考えてみればごくごく常識的なことを言っているに過ぎない。
 現実のケースでは、「著しく不合理」とか「社会通念上相当」といった判断は裁判所によって個別に行なわれる。したがって、解雇が有効か否かが裁判でなければ決着がつかず、無効の場合に救済が遅れるとか、事件の解決方法としても地位の回復(復職)しかない(金銭的解決の道がない)といった問題点が指摘されており、解雇権濫用法理の法制化が必要とする意見がある。その一方で、判例による判断には、高校を卒業して30年間マジメに勤め上げている人はよほどのことでなければ解雇できないが、これまでも転職を重ねてきた人が、高給でヘッドハンティングされた場合などは、営業成績がイマイチというくらいでも解雇できるというような、場合に応じた柔軟な判断ができるというメリットもあるため、簡単に結論の出る問題ではない。
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