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整理解雇の四要件
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解雇権濫用法理において、労働者になんらの非がないにもかかわらず、経営上の理由で解雇(整理解雇)することが合理的かどうかを判断するための基準で、「経営上の高度な必要性」「解雇回避の努力を尽くす」「人選の合理性」「労組への説明・対象者への理解活動などの手続き」の四項目からなる。一応、この四つをすべて満足させることが必要である(四要件)とされるが、判例によっては、合理性を判断する上での要素であって(四要素)必ずしもすべてを満足する必要はないとの立場を取ることもある。 バブル崩壊後、各企業が余剰人員を抱える中で、「整理解雇の四要件を緩和せよ」との主張が根強く繰り返されるようになった。「余剰人員を整理できないから経営再建が進まない」というわけである。あるいは、「株主重視の経営を行なうためには解雇を容易にすることが必要」などという見苦しいこじつけも平然と主張されている。 しかし、これは実は大ウソである。「経営上の高度な必要性」と云っている以上は、経営再建のために高度に必要なら整理解雇はできるということである。ただし、そのためには、解雇以外の方法を尽くさなければならないし、労組や従業員に対しての説明責任も課されている。当然のことながら面倒だし、経営不振を招いた経営者の責任も追及されるに決まっている。それは困るから、四要件を緩和して責任を問われずに解雇できるようにしてほしい。とはいえ、責任を逃れられても、解雇したとなればイメージダウンは免れないから、あわよくば、それが正当であるということになればイメージダウンも軽減されてなおさら結構だ。というわけで、株主重視などというヘリクツが登場することになる。要するに、経営者の責任逃れのためのエゴに過ぎない。 さらに良くないことに、解雇と失業が増えれば、再就職の斡旋やそのための教育訓練などが商売になると踏んだ人材ビジネス業者たちが、声高に整理解雇の規制緩和を主張するようになった。総合規制改革会議の委員となっている人材ビジネス業者の社長が解雇規制の緩和を主張するのは、まさに自らのビジネスに有利だからであり、このような行為は許されるものではない。 もっとタチが悪いのが、そういう主張のちょうちんを持つアナリストなどの「市場関係者」である。単純化して云えば、連中が投資している企業が経営不振であるとする。株価は当然低迷している。自然減などという時間のかかる方法では待っていられない。いちばん手っ取り早く業績が回復する方法は、余剰人員をまとめて解雇することである。これで当座の業績と株価は上がる。もちろん、それで人的資源が失われ、あるいはイメージダウンがおこるなどして、中長期的にはその企業は逆にさらに深刻な不振に陥るかも知れないし、もっと云えば国の経済、社会全体がクラッシュしてしまうかも知れないが、そんなことは関係ない。連中は、一瞬でも株価が上がれば、そこで売り抜けてしまえばいいのである。それで何百人、何千人が苦しもうとも、企業が倒産しようと、自分が儲かりさえすればあとは野となれ山となれなのである。 もちろん、ほとんどのまともな企業は、なんとかして雇用を維持すべく努力しているし、やむなく希望退職などの人員削減にいたった場合も、再就職先のあっせんなどに多大な努力をはらっている。人事部長があちこちの企業の門を叩いて、なんとか一人だけでも、と頭を下げて回る、隠れた地道な努力も重ねられている。残念ながら、こういう努力はムーディーズのお気にめさないということで、めったに表に出ることがない。しかし、アウトプレースメント・ビジネスも育ちつつあるらしいことは、こうした企業の再就職に対する配慮の一つのあらわれでもあるだろう。 「解雇を容易にすることがイコール・フッティング」などと格好をつけて、アナリストたちにチヤホヤされて喜んでいる経営者(作家もいるが)ほど情けないものはない。恥を知ってほしいものだ。 |
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