終身雇用
 わが国の長期雇用慣行を「終身雇用制度」というのは、二重に間違っている。第一に、これは定年までの雇用をさしており、「終身(死ぬ直前まで)」という意味ではない。また、これはなにも法制化された「制度」ではなく、広く行なわれている「慣行」に過ぎない。もっとも、定年を定めるなら60歳以上、というところまでは法制化されたので、慣行は若干制度に近づいたとはいえるだろう。
 とはいえ、昭和30年ころ、男性の平均寿命は60歳台だったから、55歳定年制もかなり「終身雇用」に近かったことは事実だろう。さらに、高度成長期には、熟練工不足、管理職不足という背景もあって、定年を超えても65歳、70歳まで何らかの形で就労したり、会社に籍があったりしたため、それなりに「終身雇用」的であったことも事実であろう。
 しかし、文字どおりの意味での「終身雇用」は、高度成長期だから可能だった長期雇用の特殊な一形態であり、今では維持不可能となっていると考えざるを得ない。
 マスコミは依然として「終身雇用」というエモーショナルな表現を使いたがるようだが、いいかげん「長期雇用」という冷静な表現に改めてもらいたいものだ。
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