同一労働同一賃金
 「同じ仕事であれば同じ賃金が支払われる」ということだろうが、なかなか一筋縄ではいかない。相当立派な有識者と言われる人でも、安易にこの言葉を使っている例を見かけるが、きちんと議論をしようとすればどういう意味で言っているのかしっかり確認しておかなければならない。
 たとえば、同じ商品を生産しているライバル会社があり、それぞれで同じ仕事をしている二人の人がいたとする。しかし、一方は業績好調、他方は深刻な不振といったときに、はたして同一賃金が支払われるのか、支払われるべきなのか。
 あるいは、ある商品について、2個宛使用される部品があり、二人の作業者が並んで一個ずつ取り付けているとしよう。二人の仕事は全く同じである。しかし、一人はこの仕事しかできないのに対し、もう一人は前後の他の仕事も幅広くこなせるとしよう。この場合、本当に同一賃金でいいのか。
 こうした問題をふまえて、連合などは「同一価値労働同一賃金」を主張している。外形的に同じであっても価値が違うということはありうる、というわけである。ちなみに連合は「賃金」以外にも格差があることに着眼して、「同一価値労働同一労働条件」という言い方をすることも多いようだ。ちなみに日経連は、もっと露骨に「同一生産性同一賃金」という言い方をしている。これは、外形的に同じ仕事をしていても、保有する技能水準の差によって生産性への貢献が異なることを処遇に反映しようという小池式職能給の基礎となる考え方であるといえよう。
 また、同一労働同一賃金と云ったときに、「現行法の解釈として、法規範となっているか」「立法論として、同一労働同一賃金にすべきか」「労働市場の慣習として、同一賃金同一労働になっているか、すべきか」「企業の労務管理として同一労働同一賃金にすべきか」と云った4種類の論点がある。これらは各国の状況に応じてさまざまである。わが国においては、法規範となっているとまでは云えないが、それを立法すべきかどうかには一応議論がある。慣習としてはそうなっていない(ヨーロッパ諸国では根付いた慣習となっている例が多い)。企業の労務管理としては、その方向性が模索されている(米国ではこれをめぐって訴訟が頻発する)。特に、最近のパートタイム労働に関する政策研究では、企業内労務管理として、わが国の雇用慣行を十分踏まえたうえで、現実的な「同一労働同一賃金」へのアプローチを求める意見が強まっている。
 いずれにしても、いろいろな意味にとれる、使い方の難しいことばである。
ご注意: この用語集は、管理人の個人的なコメントを述べたものであり、用語の正確な定義を記載したものではありません。くれぐれもご注意ください。

用語集にもどる
 
iconホームにもどる