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連合総研が、首都圏と関西のサラリーマンを対象に実施した「勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート調査」の結果が発表されました。今年4月に続いて2回目ということで、年2回のペースでデータを蓄積していこうという趣旨のようで、継続されれば貴重な資料になりそうです。サンプルは民間調査会社の登録モニターを利用して、20代から50代の820人を抽出し、回答を得た754人中678名が雇用者ということです。前回調査者は対象から除外したということで、同じ人を対象に本当のパネルデータを作ってほしかったような気もしますが、どんなものなのでしょう。 さて、結果を見てみますと、なかなか興味深いものがあります。私が見て面白いと感じた点を3つご紹介させていただきたいと思います。 第一に、雇用や収入に不安を感じる人とそうでない人、いわゆる「負け組」と「勝ち組」の分化が進んでいるらしい、という点です。景況感が悪化する中で、不安を感じる人の割合が増えていないところにそれを感じます。 具体的には、経済や経営についての結果はこの半年間での景況感の悪化がまざまざと反映されたものになっています。景気が1年前に比べ「悪くなった」が75.3%で、前回の52.1%から大幅アップ、先行きについても「悪くなる」が44.8%で前回の25.0%を大幅に上回っています。勤務先の経営状況も、「良くない」が56.6%で、前回の48.8%から大きく増加しています。 こうした中で、リストラの実施状況(約半数)や仕事や労働条件の不安を感じる人の割合(約7割)、具体的な失業の心配を感じる人の割合(約4分の1)については、それぞれ多少は伸びていますが前回とそんなに大きく変わっておらず、一見して意外な感じです。失業した場合に同じ賃金の職を見つけられないだろうと考える人の割合も約7割で変わりありません。これは、4月時点ですでに不安を感じる人=「負け組」(正確に言えば予備軍ですが)とそうでない人=「勝ち組」は選別されており、10月はその不安が徐々に現実化しつつある段階であったと考えればよいのではないでしょうか。本人の収入についての設問では、労働条件の不安を感じる人の割合が変わっていないにもかかわらず、「変わらない」が45.0%から38.3%に減少、「減った」が25.9%から32.4%に増加していて、前回「不安」を持っていた人々でそれが現実化していることを裏付けていると見ることもできます。もっとも、前回失業の不安を感じていた人はすでに失業し、労働条件の不安を感じていた人もすでに労働条件を低下させられてしまった結果、これらの人の不安はなくなり、その分新たに不安を感じる人が出てきていると見ることも出来なくはないかも知れませんが。 第二に面白かったのが、物価に関する設問です。物価が「下がった」が前回の48.5%から54.5%に、「上がった」が8.9%から9.5%になっており、デフレ傾向を反映した結果になっています。こんな中でも物価が上がったという人が1割近くいるというのは不思議ですが、上がった痛さ感が印象に残るということや、実際公共料金などは上がっていることを考えると、そんなものなのかも知れません。興味深いのが消費との関係で、物価が下がったと感じている人ほど消費が減ったとする人が多く、また、今後物価が下がると考える人ほど、消費を抑制すると回答するという傾向が見られることで、デフレを消費不況の元凶であるとする説に整合的です。もちろん、所得減や所得不安、あるいは雇用不安も消費におおいに影響しています。所得の方が雇用不安より効き方が大きいというのはなかなか連合らしい結論ですが、いずれにしても消費不況の原因はこうした要因が複合的に影響しているということでしょう。 さて、もう一つ興味深い結果となったのが、今回新設された、こうした中での政労使の雇用維持に対する取り組みへの評価です。そもそも雇用維持に努力すべきかという点についても、企業についてはむしろすべきでないという意見の人も多いですし、政府の努力すら不要とする極論も少なからずあるわけですが、この調査は一応政労使とも努力すべきものという前提で質問しているようです。 その結果をまず見てみますと、企業については努力しているが27.3%、していないが60.3%、わからない・無回答が12.4%となっています。労組については同じく29.1%、47.1%、23.9%で、政府については13.1%、76.0%、10.9%となっています。 「努力していない」が非常に多い結果になったわけですが、それでも労働組合については半数を切り、企業や政府に比べるとそれなりに比較的低くない結果になっています。とはいえ、労組が雇用維持に努力すべきであるというのは常識的に言えるわけで、その上で「努力している」が「していない」をはるかに下回る29.1%にとどまっていることは大いに反省してもらいたいものです。また、「わからない」が企業や政府に比べて格段に多い23.9%となったのは、組織率が低下している結果組合活動が見えにくくなっていることの反映でしょうが、それはそれで別の意味で反省材料ではないかと思います。 企業に関しては、「努力している」が労組とほとんど違わない27.3%に達したのが大いに目立ちます。連合総研の報告書は、企業も雇用維持に努力するのが当然という考え方に立って、「努力していない」が6割に達したことをもって企業に批判的な書き方をしていますが、実際には前述したように企業は本当に雇用維持に努力すべきか(私はすべきだと思いますが)疑問だという意見も多い中でこの数字なのですから、企業は本当によく頑張っていると言ってもいいのではないでしょうか。特に、企業については規模による違いが顕著で、従業員3,000人以上の大企業では41.8%ですが、300〜999人以下では28.7%、100〜299人以下では21.4%、29人以下では17.4%となっています。中小企業ほど判例法を無視した解雇が横行しているという通説を裏付ける結果になっていますが、大企業の頑張りぶりもたいしたものだと認めてもよさそうに思われる結果でもあります。 もっとも評価が低かったのが政府で、たしかに雇用維持努力は絶対に政府の役割であるとまではいえないまでも、通常の場合はやはり雇用の安定、失業の防止は政府の重要な役割なのですから、「努力していない」が7割に達するというのはかなりの低評価と考えるべきでしょう。これについては、小泉首相や竹中経済財政担当相などが「構造改革を進める上で雇用失業情勢の悪化はやむを得ない」などの発言を繰り返していることが「雇用に対して無策」という印象を与えている影響もあるものと推察されます。政府に対する政策要望でも、3点複数回答で、景気対策が77.3%で1位、雇用対策は37.8%で3位となっています。もちろん景気対策は雇用対策にもなるわけですから、連合総研の調査というバイアスはあるにしても、政府の無作為に対する批判は強いと考えざるを得ない結果です。ちなみに政策要望の第2位は医療・年金等社会保障改革の44.8%ですが、現実への評価では、政府の医療保険改革案には4分の3が否定的、実現可能性も65.5%が実現しないと考えており、政府の取り組みには厳しい視線が向けられているようです。 報告書は「参考のひとつにしていただければ」という他人事のようなことを書いていますが、確かに多くの人の参考になりそうな結果であるにしても、まずは連合自身がこの結果を大いに反省材料としてもらいたいものです。連合総研と連合は一応別物ということなのかも知れませんが。 |