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先月末、政府の行政改革推進本部が「公務員制度改革の基本設計」をとりま とめました。今後、これをベースに、本年12月を目途に「公務員制度改革大 綱(仮称)」を策定し、改革に向けた法制化等の具体的な内容、平成17年度 までの集中改革期間におけるスケジュール等を明らかにすることとしています。 これは、相次ぐ公務員による不祥事や、いわゆる「天下り」の弊害などが強 く批判されたことや、政府部内においても、公務員自身が公務員制度に対する 強い不満をもっていることなどをふまえて、検討、決定されました。 その内容はかなり大部にわたっていますが、ポイントをご紹介すると、まず は人事制度の大幅な改革がうたわれています。具体的には能力等級制度、すな わち民間でいうところの職能資格制度を導入して、これを人事管理の基軸とし、 従来のキャリヤ制度や年次制度を能力主義に改革するとしています。給与につ いても、月給は能力給(≒職能給)と職責給(≒職務給)とし、職能給は資格 別定額部分と業績反映部分に分けるとし、賞与は業績給とするとなっています。 指定職には年俸制を導入するとしています。さらに、「能力評価」と「業績評 価」からなる公正で納得性の高い評価制度を導入するとしています。ここには、 目標管理制度や多面評価、評価結果のフィードバック、苦情処理なども織り込 まれています。まさに、民間が進めている人事制度改革の最大公約数的な内容 になっていると言えます。 さらに、人材育成に関しては、いわゆるキャリヤ・ディヴェロップメント・ プログラムの提示や本人発意の重視、女性の活用といった項目が、また、人材 確保(採用)については、1種試験の合格者増、民間人材の登用、公募制の活 用などがあげられています。いわゆる「天下り」に関しては、ルールの厳格化 や明確化、実態の公開などが盛り込まれたことは報道などでも伝えられたとお りです。また、一項目を設けて、「超過勤務の縮減などによる勤務環境の改善」 を掲げています。 組織については、機動的・弾力的な組織・定員管理を行えるよう、一定範囲 で各府省に権限を付与するほか、組織目標の設定と点検があげられています。 また、首相のスタッフである国家戦略スタッフの創設や、大臣を人事管理権者 として明確化するなどのマネジメント体制の整備が掲げられています。 このように、内容的には民間企業で取り組まれている人事制度改革・組織改 革にならったものであり、全般的には妥当なものであると思われますが、細部 を見ると、その実現にあたって、さらに突っ込んだ検討が必要と思われる事項 もあります。 まず第一に物足りなく思えるのが、特殊法人や外郭団体を「退職管理=天下 り」の問題としてのみとらえ、公務員に特殊法人・外郭団体職員まで含めた 「拡大された全体」としての構想がなされていないことです。確かに、「基本 設計」も触れているとおり、特殊法人などについては見直しが行われていると ころであり、踏み込みにくい部分だったのかも知れませんが、業務においても 人事システムにおいても一体の部分がかなりあるのですから、例えば人的資源 の配置の問題なども、役割が終わった特殊法人から要員が不足している組織に 人(人件費)を動かしたりすることも考えるべきではないかと思います。また、 現在はポスト管理の色彩が強いと云われるわけですが、もっとキャリア形成の 観点から特殊法人等を活用してもいいと思います。「退職後の受け皿」という 発想を改めて、特殊法人等まで含めた拡大された全体の中で、定年まで働くと いう考え方に転換すべきではないでしょうか。 賃金水準への踏み込みがないのも物足りないところです。一応、生計費に配 慮して民間準拠という原則だけは示されていますが、基本的には従来の考え方 の踏襲でもあり、どのような具体像になるのかが見えていません。一般的に、 若手キャリヤ官僚の賃金は就労実態や能力などに対して著しく低いと受け止め られており、それは今回の検討の中での若手官僚からのヒヤリングでも多く指 摘されています。もちろん、賃金の長期精算という考え方自体は否定するもの ではありませんが、あまりに後払い部分が大きすぎることが、天下り後の高給 批判や渡り鳥批判につながっていることも事実です。おそらく予算などの制約 があるのでしょうが、もっと若年時に高く、中高年で横ばいに近づくという、 民間タイプの賃金に近づけていくとともに、仕事の実態に応じた賃金水準を、 遠慮せずに堂々と設定すればよいだろうと思います。 「採用年次にとらわれない」という考え方を打ち出したことは高く評価した いと思います。民間企業では、年次の逆転はもちろん、役職定年制などによる 事実上の降格や「年下の上司」などは当たり前なのですから、こうした人事管 理をどんどん取り入れて、多くの人が省内で定年を迎えるという形に持ってい くことが必要だろうと思います。 民間への転身についても、決して悪いことではないはずです。キャリア官僚 はもちろんのこと、いわゆるノンキャリヤにも優秀・有能な人は多く、本来な ら民間企業でも大いに欲しい人材が多いはずです。ところが、天下りがどうし ても「押し付け」という批判を受けるのは、結局は給与が高いということが大 きな理由です。これも、極端な後払い・長期精算型の給与体系の弊害です。高 い給与を払おうとするとどうしても高いポストにつけざるを得ませんし、それ は多くの場合企業プロパーのポストを奪うことになります。また、それでも高 額な給与に見合った仕事が期待できないことも多くなり、結局「押し付け」と いう批判につながってしまうわけです。また、特にキャリヤ官僚の場合、官庁 内で高い地位につくと、どうしても民間が頭を下げてくる場面が多くなること から、民間に転身するにしても、高い地位を求めてしまうという傾向があると いう話もよく聞くところであり、このあたりの意識改革にもつながるような取 り組みが必要になるでしょう。 評価などについては、報道などで、民間企業以上に難しいのではないかとい うことが云われています。「営利企業と違い、業績というものさしがないから」 というのがその理由とされていますが、私はそれ以上に、これまで民間企業の ような形で評価をするということをしてきていないので、評価する側もされる 側も、かなりの戸惑いや抵抗を感じるのではないかということをもっと心配し た方がいいように思います。そういう意味では、平成17年度までを集中改革 期間とすることになっているわけですが、この期間を有効に使い、段階的な導 入をはかることが、新制度の定着のためには非常に重要になるだろうと思って います。 |