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日経連が、今年度の新卒採用に関する企業アンケートの集計結果を発表しました。この内容をもとに、新卒採用の傾向を見ていきたいと思います。 調査対象は日経連傘下の地方組織である東京経営者協会の会員企業1501社で、519社から回答を得ています。東京経協には東京以外に本社をおく企業の東京支社なども加入していますので、それなりにある程度は全国的な傾向も反映していると考えてよいでしょう。業種・企業規模は、製造業と非製造業、従業員数1000人以上と未満とがほぼ半々だということです。調査時期は10月の中旬から下旬ということですから、ずいぶん迅速な集計ぶりといえるでしょう。 さて、まず採用の有無から見ていきますと、新卒採用ゼロは全体の16.1%で、昨年の18.0%から微減となっています。採用人数も増加が42%で減少の24%を上回っており、新卒採用による調整は一応終わりつつあるという状況を示しています。今現在の実感とは全然合いませんが、13年3月卒の採用がおおむね決定したのは、大手では高卒が昨年の9月、大卒が昨年の5〜6月くらいでしょうから、その時点ではそういう状況だったということでしょう。14年3月卒にあてはめれば、昨年末からの景気の減速は反映されていますが、半導体生産の大幅な減速、さらには同時多発テロや狂牛病の影響などは、来年度卒大卒採用にはほとんど織り込まれていないということになります。採用というのはたいへんな遅行指標だということを改めて感じます。ちなみに平成14年3月卒の採用については、「採用(予定)あり」が64.8%ですが、10月時点でも「未定」が26.2%を占め、「なし」を決定済の9.0%とあわせると、まだ35%以上が採用を行っておらず、こちらは足元の厳しい環境をかなり良く反映していると言えるでしょう。 就職協定の廃止以来、一段と採用・就職活動の早期化が言われていますが、採用の開始については「昨年と変わらない」が54.3%と過半数を占めています。しかしながら、「早くなった」が38.6%を占めた一方、「遅くなった」は7.1%にとどまっており、傾向としては早期化が続いているという結果が出ています。これはおそらく、先行して早期化した企業を他の企業がキャッチアップしつつあるということだと思われ、早期化そのものはペースダウンしているものと推測されます。終了については、「変わらない」が6割を占める一方、「早くなった」と「遅くなった」がそれぞれ約2割となっています。採用活動が長期化しているということでしょうが、企業としてもいい人であれば一人でも多く採ろうという努力の現れかも知れません。 その他、目立つ結果を拾って見ますと、採用内定者に対する評価は、「良い人が採用できた」とする企業が63.1%を占め、昨年の30.1%を大幅に上回りました。一般的に、採用数が少ない時には採用者のレベルが上がるわけですが、それにしてもここまで急激に評価が高まったのは不思議です。雇用情勢が厳しい中で、学生サイドの努力の成果というのもあるでしょうが、一応今回は採用を増加させる局面でもあり、企業サイドがいくらか評価基準を緩めているということもあるのかも知れません。いずれにしても結構な話で、ご同慶のいたりではあります。 インターネットを利用した採用も進んでおり、大卒採用のエントリーの受け付けをインターネット経由のみとした企業は、昨年の18%から34%と大幅に増加しています。インターネットにアクセスできなければエントリーすらできないということですから、採用におけるデジタル・デバイドが進行しつつあると云えるでしょう。ちなみにインターネットによる情報提供は9割を超えています。別の調査によれば、pr用のパンフレットを作らないとか、資料の郵送はしない(インターネットで見てもらう)という企業が増えており、この限りにおいてはインターネットは採用のコストダウンにも寄与しているようです。 もう一つ目立った変化としては、インターンシップの増加があります。すでにインターンシップを受け入れている企業は25%から30%に、受け入れを検討するとした企業は19%から26%に増えており、順調に普及が進んでいることがうかがわれます。 最後に、学生さんには気になる「選考にあたって重視するポイント」ですが、複数回答で6割超の企業が「コミュニケーション能力」をあげました。続いて「主体性」と「チャレンジ精神」を約5割の企業が、「誠実性」「協調性」「責任感」を約4割の企業があげていて、これがベストファイブになっています。「専門性」をあげた企業は、複数回答であるにもかかわらず全体の6分の1にも満たず、ベストテンにも入っていません。さらに、「語学力」をあげた企業は1割にも満たず、「学業成績」は7.4%、「保有資格」に到っては1%にも満たない0.7%にとどまっています。これはすべての学歴についての集計なので、学歴による違いはあるだろうと思いますが、それにしても、世間では新卒採用まで射程に入れて「即戦力」「専門能力」などのことばが躍っているのとはまったく一致しない結果です(実務家の実感には非常によく合っていますが)。企業の選考姿勢の方は、中途採用はともかくとして、新卒採用については依然として基礎的能力重視で、内部育成で専門性を養成していこうということで変わりはないようです。 採用環境は一段と冷え込み、厳しさを増している中ですが、学生さんには、こうした企業のニーズを正しく理解して、いたずらに資格ビジネスや人材ビジネスの宣伝に躍らされることなく、就職活動に臨んでほしいものだと思います。そして、それ以上に大切なのは、現有の雇用を維持しながら、さらに一人でも多くの新卒者を採用できるよう、企業が業績を改善し、仕事を増やしていく努力を続けることではないでしょうか。 |