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この19日に、厚生労働省の「平成14年労働組合基礎調査」の概況が発表されました。組織率、組織人員とも勢力が後退しており、労組の退潮ぶりを如実に示す結果となったようです。 それによると、まず組織率は20.2%と、なんとか20%台をキープしたものの、前年の20.7%に比べ0.5ポイントの低下となりました。昭和40年代までは一進一退を繰り返しながら徐々に低下してきましたが、50年代に入ってからは低落する一方で、これで27年連続の低下となります。昨年、一昨年と0.7ポイントずつ減少していましたので、今年は20%台の確保が危ぶまれていましたが、どうにか踏みとどまったという形です。 組合員数は1,080万人となり、前年の1,121万人から41万人、3.7%減となりました。こちらは、平成6年までは、組織率が低下する中でも雇用者数全体の増加により増勢を維持してきましたが、平成7年に減少に転じ、以後8年連続の減少ということになります。 内容を見ていくと、まず企業規模別には、1,000人以上の大企業は、組合員数が4.8%減だったにもかかわらず、なんと組織率は昨年の53.5%から54.8%と、引き続き高い水準で、かつ1.3ポイントという大幅な改善を示しています。これはひとえに、雇用者数が7.2%減と大幅に減少したためであり、労組としても決して単純に喜べる話ではありません。また、大企業における人員削減が、管理職クラスまたはパートタイマーなどの非組合員を中心に行われたことを示すデータでもあるでしょう。そういう意味では、組合員の雇用は相対的に守られているともいえ、労組の存在意義がそれなりに示されたと見ることもできそうです。 中小はどうかというと、従業員数3桁の中規模企業では、組合員数が4.3%減に対して雇用者は0.7%増えており、組織率は17.7%から16.8%に0.9ポイント低下しています。99人以下の小企業では組合員数が4.7%減、雇用者数は0.6%減で、組織率は1.3%のまま横ばいとなっています。組織率の企業規模間格差はむしろ拡大しています。 これをみると、今年の組織率低下の主役は、大企業のリストラよりは、従業員100〜999人の中規模企業の動向にあったといえそうです。推測されるのは、これらの企業が、組合員(≒正社員)を減らすいっぽうで、雇用者数が増えるほど非正規雇用を大きく増やしている、ということです。 次に産業別を見ると、組合員300万人超の最大勢力である製造業が組合員数で5.4%減と大きく減らしており、雇用者数は3.3%減で、組織率も0.6ポイントのダウンとなっています。 そのいっぽう、組合員100万人台の大勢力である建設、運輸・通信、卸小売・飲食、サービスといったところは、いずれも組合員を減らしてはいるものの、その幅は大きくはなく、組織率で見ると、建設は逆に0.7ポイントの上昇、卸小売・飲食は横ばい、他の2産業も0.3ポイントの減少にとどまっています。建設は組合員数が2.4%減に対して雇用者数が5.6%減と、非正規が削減されやすい建設業の実情を反映しているようです。逆に、サービスは組合員数が1.6%減に対して雇用者数が1.1%増と、非正規へのシフトが見受けられます。 その他特徴的なところを見てみると、やはり組合員120万人超の大勢力である公務においても、組合員数が1.8%減に対して雇用者数が2.9%増で、組織率も61.5%から58.7%と、実に2.8ポイントもの下落となっています。もともと組織率が高いだけに変動幅も大きくなりがちではありますが、それにしても公務のリストラも進んでいるということでしょうか。あるいは、公務員の労組離れも反映しているかもしれません。 こうした傾向がさらに強いのは、電気・ガス・熱供給・水道業と金融・保険業・不動産業で、それぞれ組合員数が1.3%、4.7%減に対し、雇用者数は8.6%、3.2%増で、組織率が40.2%→37.1%、62.8%→57.1%となっています。社会的にもリストラが強く求められているこれらの産業で、まさに正社員から非正規雇用へのシフトが進んでいることをうかがわせる数字ですが、それでも雇用者数が増えているというのは、まだまだリストラが手ぬるいと見ることもできるかもしれません。 ちなみに、ナショナルセンター別では、連合が昨年の712万人から695万人に減らし、ついに700万人を割ってしまいました。連合は発足以来「800万連合」を自称しており、平成11年に750万人を下回ってからも、随所で「800万組合員」と述べてきました。最近では、たとえば今年6月の「2002沖縄平和アピール」や、それを報じた「Weeklyれんごう7月5日号」に「連合800万人」との語が出てきていますが、さすがに今後は「800万」ともいいにくいのではないでしょうか。 この結果を連合はどう受け止めているのでしょうか。連合はこの結果に対する事務局長談話を発表し、「組織拡大が喫緊の課題」としたうえで、組織率低下の理由を「リストラなどによる企業の人員削減がある一方、非典型労働者の組織化が不充分であった」と総括しています。そのうえで、「さらなる雇用対策と、関連・子会社、パートなど非典型労働者の組織化、…100人以下の中小・地場の組織化が大きな課題」と述べています。妥当な問題意識といえましょう。 次いで談話では、「この1年間、組織の強化・拡大を最優先課題として取り組みを進め」、「昨年までの年間平均の拡大数7万人」を大きく上回る「15万人の拡大実績を上げた」ものの、「減少人員を上回る組織拡大を実現するには至っておらず、その点、組織拡大体制は未だ不十分」であり、「組合員の期待に応えられる足腰の強い組織づくりをめざす」と、なかなか謙虚な反省を示しています。 組織力はなにより労組の生命線ですから、連合の危機感は深刻なものがあるようですが、組織率の低下に加えて、現状の組織率自体がユニオン・ショップ制や組合費のチェック・オフに支えられていて、組合員の組合参加という面で必ずしも実質的なものではない、というところに根本的な問題があるようにも思われます。もちろん、表面的にはリストラによる雇用者の減少、あるいは非典型労働の拡大によって組織率が低下しているでしょう。しかし、そのいっぽうで、組織拡大が進みにくいことの根本的な理由として、組合活動が活性化していないということがあるのではないでしょうか。 連合が制度・政策課題に舵を切ったことは理解できるものだと思います。しかし、「労働時間の短縮」のような労働条件の課題まで、団体交渉を通じた協約化ではなく、国会や審議会の場での「法制化」の運動に走ってしまったことが、組合員の参画意識を大きく低下させてしまったのではないか、という気がしているのは私だけでしょうか。あるいは、あたかも過去からのいきさつでずるずると続けているかのように見える平和運動など、組合員の共感を得にくい活動に労力を割きすぎてはいないでしょうか。 余計なお世話でしょうが、内を固めなければ外への拡大も難しいのではないか、というのが私の率直な感想です。組織拡大が重要であればこそ、内部の組織固めも重要で、両者は不可分ではないかと思います。 |