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インターネットと労務管理の関係については、時折取り上げているところですが、この19日に日本労働研究機構(JIL)からそれに関する面白い調査結果が発表されましたので、ご紹介したいと思います。 この調査はオンラインのアンケート調査で、上場企業と店頭登録企業合わせて3,575社に郵便で調査への協力を依頼し、JILのサイト上に掲載された調査フォームに回答者がアクセスして入力、送信するという形で回答するものです。最近、こうした方法による調査が増えていますが、個人対象と違って企業の場合はほとんどがインターネットにアクセスする環境にありますから、有力な方法かも知れません。もっとも、回答は267社からにとどまったということですから、回答率で言えば7.5%に相当する低率にとどまっています。また、依頼はしなかったが偶然回答フォームを見つけて回答した人がいる可能性はないのかも気になるところです。 さて、その結果を見てみますと、まずインターネットを私的利用している人がいるかどうかに関する設問では、「多少いると思う」が52.5%、「かなりいると思う」が35.7%と、9割近い企業で私的利用があるという回答になっています。とはいえ、約3分の2の企業が「特に問題となっていない」と答えていますので、まだそれほど深刻な問題と受け止められてはいないようです。とはいえ、従業員1000人以上の大企業では半数が「問題あり」としています。大企業ほど情報装備が進んでいると考えていいでしょうから、これからこの問題は拡大してくることが予想されます。 次に、私的利用についてどのようなルールが設けられているかですが、約4割の企業がすでにルールを定め、やはり約4割の企業が定める予定としていますので、約8割の企業が私的利用を制約する必要を認めているということになります。 その必要性ということで、私的利用によって起きている問題点に関する回答を見てみますと、「ウイルス感染」が46.6%と最も高く、「ネットワークの混雑などの通信の障害」が27.9%、「仕事の効率の低下」が23.3%と続いています。一方、「特に問題はない」も38.9%と約4割を占めています。このところ強力なウィルスやワームが立て続けに猛威をふるっていますが、それでも4割の企業は被害を受けていないというのは多少以外な感もあります。とはいえ、こうした現状を反映してか、今後の心配点としては約3分の2の企業が「ウイルス感染」をあげています。他に目立つのは、「企業の有する情報の流出・漏洩」が現状では1割に満たないのに対して今後の心配では6割に達していて、大きな差がみられます。このほか、「仕事の効率の低下」「従業員のインターネット上の行為による社内/社外のトラブル発生」も、やはり現状が1〜2割程度に対し今後は3分の1前後と、先行き心配に感じられているようです。たまたま今のところは起きていないが、いつ起きても不思議ではない、という気持ちが見て取れます。その一方、将来的な技術進歩やインフラ整備を見込んでか、「ネットワークの混雑などの通信の障害」は23.3%と、現状を下回る結果となっています。 さて、こうした中で私的利用をどのように規制するのか、ということですが、メールについては4分の3、ウェブサイト閲覧については3分の2が全面禁止となっており、「業務に支障のない範囲で認める」という現実的な対処をとっている企業はメール・ウェブサイトとも2割弱にとどまっています。 とはいえ、多くの企業で禁止されている私用電話が現実にはなくならないのと同じことで、全面禁止といっても本当になくなるということはなかなか考えにくいというのが常識的でしょう。この手の問題に関しては、スピード違反と同様に、ある程度見てみぬふりをして、ときに取り締まりを行なうのが妥当なセンなのかも知れません。 そこで取り締まりがどうなっているかですが、約3分の1の企業がなんらかの形で取り締まりを行なっているようです。具体的には、約6割の企業が「履歴の保存」、を実施し、半数近い企業が利用状況のモニタリングを実施しているとのことです。業務と関係のないサイトへのアクセスを制限している企業も約3分の1あります。 取り締まりの結果、違反が見つかった場合の処分については、行なった企業は13.7%にとどまり、86.3%は行なったことがないとしています。やはり、よほどのことがなければ大目に見る、という運用がなされているようです。 この結果を見てみますと、やはり「万一の場合が怖い」という考え方が基本にあるように見受けられます。現実問題としては、ここまでネット利用が普及してきてしまえば、私用電話と同様、私的利用を完全に排除することはほとんど不可能でしょうし、また、排除するためのコストを考えると、ある程度の私的利用は放置した方が合理的ということもあるでしょう。とはいえ、私用電話で電話ネットワークがダウンするということは通常考えにくいわけですが、ネット利用に関しては、容量の問題は投資で解決できるとしても、ウィルスの侵入によってシステムがダウンする危険性は無視できません。最近の状況を見ると、「万一」というほど低確率であるとも思えないような状態になってきています。さらに、ネットでは画像をふくむ大量の情報伝達が可能であり、機密漏洩の危険性も私用電話の比ではありません。 そこで、やはり定期・不定期(抜き打ち)の取り締まりを行い、大きな問題がないかどうかを常にチェックするとともに、悪質なケースや結果が重大なケースについては厳罰がとれるよう、規則上は全面禁止にしておくという対処が合理的ということになるのかも知れません。労務管理においては、守られない規則は規則としての意味がないと言われるわけですが、ときにはこういう例外もあるようです。制限速度の規制も、普段はあまり守られていませんが、結果が重大(事故を起こしたとか)な場合や、抜き打ちの取り締まりで大きく超えていた場合には処分をされるわけで、けっこう似ているように見えるのは私だけでしょうか。 |