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来月には日経連との統合が予定されている経団連ですが、先週火曜日(16日)に「新たな成長基盤の構築に向けた提言−需要・供給両面から総合的な政策の実行を−」という提言を発表しました。日経連との統合を念頭においてか、これまでになく労働問題への言及が多くなされています。基本的には、現状のデフレをもたらしている需給ギャップに対して、需給両面からの対策を訴えており、これまでの経団連の若干ヒステリックな「選択と集中」路線から、総需要政策とのバランスを探る内容にシフトしているように思われます。これは日経連統合とともに会長が交替することも意識しているのかも知れません。 具体的には、従来と同様の、過剰設備の解消・企業組織の柔軟な再編といったリストラ路線と技術革新の促進や新規事業の育成といった内容に加えて、需要創出策として、都市再生や環境問題などの社会的需要についても従来以上に力を入れて記述されています。 さらに今回注目されるのは、社会保障と雇用政策についても、これらと同様以上に力点をおいて記述されていることでしょう。 まず、社会保障制度改革については、税体系の見直しとも関連づけて、現行制度のまま現役世代の社会保障負担を引上げることには反対しています。その上で、経済や社会の活力の観点から、個人・企業ともに所得・収益に対する税や社会保険料などの直接的な負担の増加は極力回避すべきと主張しています。そして、消費税率の引上げによる社会保障制度の安定化を「一つの選択肢」と提言しています。 雇用政策に関しては、さらに詳細な提言が行なわれています。まず第一には、「多様な雇用のあり方を支える制度の構築」ということで、労働者のニーズに応じた、多様な働き方・雇用の仕方を可能とし、労働移動の円滑化を進めることで、それにより低生産性部門から高生産性部門への人材の移動が促進されるとしています。そのためには、派遣労働、有期労働契約、裁量労働に係る規制の改革を早急に進めるとともに、長期雇用を前提とした退職所得課税、年金制度などを根本から改める必要があると主張しています。 さらに、提言はワークシェアリングにも言及し、「国が法律などにより、企業に所定労働時間の短縮や雇い入れる従業員の拡大を一律に求めるという意味でのワークシェアリングは疑問」と述べています。これは主にフランスで見られるような、労働時間の上限規制を強化してフルタイムの正規雇用を増やそうという考え方を否定したものと考えられ、「政労使ワークシェアリング検討会議」などでの日経連のスタンスとも一致するものです。「いかなる雇用戦略・人事戦略を採用するかは、各企業の労使の判断に委ねるべき」との姿勢も、日経連の従来からの基本認識と整合的といえるでしょう。 そして、とりわけ特徴的なのは、特に「外国人労働者の受け入れに関する検討」の項目をおいて記述されていることです。これはもちろん、日経連との統合後の新会長となることが予定されている日経連の奥田会長が、外国人労働力の受け入れに積極的な発言を繰り返していることと無縁ではないでしょう。 提言はまず、「少子高齢化社会の中で、わが国経済・産業が発展を遂げていくためには、世界の優秀な人材を活用していく必要がある」という前提をおいています。その前提に立って、「わが国企業が外国人にとって魅力的となる」と同時に、「外国人労働力の増大で社会的コストが高まることのないよう、社会保障制度、教育制度等を含めた総合的な秩序ある受け入れ体制のあり方を、国民各層の広範な参画を得て検討していくことが中長期的に必要」と主張しています。 さらに具体的には、まず管理者、技術者等について、企業が能力と成果に応じた賃金・処遇体系への移行などに取り組む一方、政府は規制の改革・緩和や年金のポータビリティの確保、教育や医療面での諸問題の解決などに取り組むべきとしています。次にブルーカラーについて、「国民各層の広範な参加を得て、外国人労働者を受け入れる条件を論議するとともに、当面、現行の外国人研修制度の運用緩和・拡充を図るべき」と述べています。 かなり踏み込んだ記述と言えそうですが、日経連は外国人労働者については本年(2002年)版の「労働問題研究委員会報告」で、「少子化が深刻化し、労働力不足の観点から外国人の本格的導入を検討しなければならない時期」としたうえで、「技術者や留学生を含め、外国人の受け入れや移民の問題について、早急に方向を定める必要がある」「さまざまな環境整備のコストも含めて論議することが望まれる」という基本姿勢を示しています。経団連の提言はより具体論に踏み込んだものとなっていますが、「技術者などの受け入れは積極的に進むよう環境整備」「ブルーカラーについてはコストを踏まえて国民的に広く議論」というスタンスは共有されているように思われます。 この提言によって、統合後の新団体においては、社会保障改革と、労働分野においては外国人を含む雇用の多様化が大きな課題となるという方向性が示されたと受け止めることができると思います。いずれも重要な問題であるだけに、統合後の新団体の力量が問われる課題になりそうです。 |