パート等労働者、4人に1人に(14.9.26)



 この17日に厚生労働省から発表された「2001年パートタイム労働者総合実態調査」の結果(速報)によると、いわゆる「パート」等労働者は全労働者の26.1%と、4人に1人を上回っていることが明らかになったそうです。これは前回(1995年)調査に較べて8.3ポイント増という大幅増加で、実数でも320万人増の1,118万人となっているとのことです。
 この「パート『等』労働者」というのが曲者で、周知のとおり、「パート」と一口に言っても、「一日の労働時間が短い、あるいは労働日数が少ない」という、パート労働法の定義にあるようなパート労働者と、労働時間や労働日数はいわゆる正社員とは変わりないものの、「賃金が時間給で、仕事は比較的定型的・非熟練、昇給・昇進なども限定的」(まあ、現実はさまざまでしょうが、ひとつの類型として)といった、一種の「雇用管理区分」としてのパート労働者とが渾然となって混在しているのが実態です。今後、働き方の多様化が進むであろう趨勢の中で、企業はこの部分の整理を迫られるものと思われます。ちなみに、今回調査によれば、労働時間等が短い「パート」は949万人、労働時間等が同じか長い「パート」は169万人となっているそうで、伸び率はどちらも同等程度となっているようです。
 なにかと問題視される「擬似パート」、この調査で言えば「職務・責任が正社員と同じ」パート、ということになるようですが、それが存在すると回答した事業所は40.7%にのぼったそうです。これを高いと見るか低いと見るかはいろいろでしょうが、わが国では正社員であっても最初は(パートが担当するような)定型的な実務からスタートさせることが一般的なので、フルタイム勤務の「雇用管理区分パート」がいる事業所はかなりの割合でこれに該当してしまうことになります。そういう意味では格別驚くような高率ではないと受け止めておくべきでしょう。
 なぜパートという働き方を選んだのか、という質問に対しては、「自分の都合のよい時間に働きたいから」という回答を男女とも約半数があげています。「勤務日数・時間が短いから」というのも3割前後の回答を集めていますが、これも「都合のよい」に近いと見ることができそうですから、これを見る限りでは男女ともに仕事と生活のバランスをとりつつ働こうとの意識が高まっていることを示唆する結果にはなっています。今後の就業希望についても、約3分の2は「パートを継続したい」と回答しています。
 その一方で、男性の22%が「正社員として働ける会社がない」という理由をあげており、これは1995年調査に較べてほぼ倍増していますので、経済不振が続く中で、いわゆる「不本意パート」も増加しているのが実態でしょう。今後の就業希望も、男性に限れば「正社員になりたい」が23%を占め、1995年調査より10ポイント増加しています。まだ多いとはいえない数字ではありますが、無視できない動向だろうと思います。
 さて、企業サイドがパート等労働者を増やしている理由はといえば、「人件費が割安だから」との回答を65%があげており、1995年調査に較べて28ポイント増と大きく増加しています。その他に多い回答としては「忙しい時間帯に対処するため」「簡単な仕事内容だから」がそれぞれ3〜4割にのぼっていますが、これは1995年調査と大きな変化はありません。実務的に考えると、複雑な仕事内容を割安な人件費で手当できることは期待できないわけですから、「人件費が割安だから」というのと「簡単な仕事内容だから」は現実の意味としてはそれほど違いがあるわけではないでしょう。人手不足(1995年時点では、まだ気持ちの上ではバブルの余韻が残っていたはずです)のときには簡単な仕事でも比較的高い人件費を払わないと調達できないのに対して、経済の不振が続く中では、簡単な仕事は割安な人件費で手当しようとする(また、実際にできる)というのは実務感覚に大いに一致していないでしょうか。実際、パート等労働者の賃金については「世間相場で決める」を3分の2以上があげていますので、長引く景気低迷の中、割安な労働力で対応できる仕事は割安な労働力にシフトしていくという企業としては当然の行動が進んでいるということでしょう。その中で目立つのは、パート等労働者を雇用する理由として「一時的な繁忙に対処するため」を27%があげて、1995年調査の約3倍に達していることです。雇用を最大限安定させつつ、負荷の変動に対応していこうとする、日経連の「自社型雇用ポートフォリオ」の考え方が浸透しつつあることを伺わせる結果であるといえそうです。
 その他、パート等労働者をめぐるさまざまな論点にも行き届いた調査が行われており、たとえば「正社員と較べた賃金の納得度」については、「低くて納得できない」は16%となっています。どう評価するかは難しいでしょうが、こと賃金に関しては「低い」との意識が根強い傾向があり、納得度はなかなか高まらないというのが実務家の一般的な感覚でしょうから、16%という数字は思いのほか低いとも言えそうな気がします。「103万円の壁」などを理由とする就労調整を行っているとしたのは23%で、これはやはり問題とする必要のある数字だろうと思います。社会保険については、雇用保険に加入している割合が45%となっています。雇用保険料は、この10月から上がるとはいえ、それでもそれほど高いものではないのですから、事業主としてももっと加入を促進してはどうかなというのが率直な感想ですが、1995年調査に較べれば10ポイント近く向上しているというのですから、この経済不振の中よくがんばっているというべきなのかも知れません。
 もう一つ、労組への加入については、「会社にパートが加入できる組合がある」が3割近くに上っており、労組もそれなりに努力していると評価できるのではないかと思います。ちなみに「加入している」は18%となっており、傾向として所得が多くないパートにとって、組合費を負担してまで労組に加入することはまだまだ当たり前とは言えない実情が伺われます。
 全体を通じた印象としては、たしかにパート等労働をめぐる問題点として指摘されている事項を裏付ける結果である一方、世の中で言われているほどには、虐げられているパートが増えている、というわけでもないことが伺えると思います。パート=不安定・低賃金労働=けしからん、という思考ではなく、先般のパート研報告にも一部見られるような、働き方の多様化の進展として前向きに考えていく必要がありそうに思われます。

労働雑感にもどる

iconホームにもどる