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社会経済生産性本部が実施した「新入社員半年間の意識変化調査」の結果が発表されました。この調査は、毎年春に実施されている社会経済生産性本部主催の新入社員合同研修において、参加者を対象に実施した意識調査が行われていますが、これと同じ設問を、半年後の10月〜11月に、同じ対象者(ただし抽出)に再度調査するという非常に興味深いもので、すでに11回を数えています。サンプルは合同新入社員研修の参加者ですから、「新入社員研修を全部自前ではまかなえないが、しかし決して安くはない研修費を負担して新入社員を合同研修に送り込むような企業の新入社員」ということになります。これは必ずしも世間の新入社員全員の代表とは言えませんが、一定傾向の新入社員の半年間の意識の変化をダイレクトに捉えているだけではなく、その経年変化も観察できるという意味でたいへん貴重なものであるといえるでしょう。 さて、その結果を概観してみると、スペシャリスト指向である一方、仕事のやりがいより報酬を重視するという実利的な意識が強まっているといえるようです。また、男女で意識の違いが顕著なのがかなり目立ちますが、これは仕事の内容に違いがあることによる可能性も大きく、若干割り引いて見る必要があるように思われます。 具体的に見ていきますと、ゼネラリストとスペシャリストの比較では、スペシャリストが55.4%で、入社直後の51.4%からかなり増えています。ちなみにこの55.4%という数字は過去11回で最高ということで、たしかにスペシャリスト指向は強まっていると言えるでしょうが、世間で喧伝されるほどかどうかは判断が分かれそうな感じです。ちなみにこの設問は男女でほとんど違いがありません(男55.2%、女54.5%。どちらも合計より低いのは謎ですが)。 他の設問でも、スペシャリスト指向を裏付ける結果がいくつか見られます。「仕事の分担」が「あらかじめ明確化されて余計な口出しが不要」と「細かくは決めず必要に応じ調整」のどちらがいいか、という設問に対しては、「明確化」が入社直後の41.0%から47.8%と大幅に伸びています。昨年の同時期は39.5%でした。これはどちらかといえばプロフェッショナル指向に整合的でしょう。これは男性の42.4%に対し女性は54.5%と男女差が大きく、「必要に応じ調整」の局面で不利になりがちな女性の立場を反映していると見ることができるかも知れません。 「チームワーク」と「個人プレー」の選択についても、「チームワーク」が半年間で78.3%から72.1%に低下しています。ただ、こちらは昨年の同時期が71.8%、一昨年の同時期が68.1%なので、傾向的にはむしろチームワーク指向が高まっているのが面白いところです。また、この設問も男女差が大きく、男性が74.2%に対し女性が69.4%で、女性の方が協働にネガティヴな傾向がこの設問でも見られます。 仕事の内容に関しては、「新商品・サービスの企画」と「決められたコンセプトを形にする」の選択がありますが、「新商品」が53.4%から50.8%に低下しているのが意外なところです。まあ、半年経って花形職場への憧れもいくらか薄れ、現実的になってきたということでしょうか。ただ、この設問は特に男女差が大きく(男57.8%、女43.2%)、春と秋でのサンプルの違いが影響している可能性もあります。 その一方で、やりがいより実利重視を感じさせる結果も多く出ています。 端的なのものとして、転職すると仮定して重視する条件を訊ねた設問で、「やりがい」をあげた人が半年間で67.4%から57.4%に大幅にダウンしています。これは昨年の60.0%、一昨年の63.7%と比較しても低下しており、「やりがい」重視の傾向は依然として強いとはいえ後退しているようです。それに対して、「賃金」をあげた人が半年間で13.7%から21.7%に増加しています。これまた昨年20.1%、一昨年14.5%ですから、実利指向の高まりが見て取れます。これもある意味ではプロフェッショナル指向といえるかも知れません。なおこの設問も男女差が大きく、「やりがい」は男66.4%に対し女50.0%と大差となっています。「賃金」「休日」などは女性の方が重視する傾向にありますがその差は大きくなく、「やりがい」の差に対応しているのは実は「通勤の便利さ」(男2.5%、女13.9%)なのが面白いところです。新入社員ですからまだ女性の家事負担はそんなに大きくないはずで、女性の方が時間の有効活用に対する意識が強いということになりそうです。あるいは、「やりがい」「賃金」に対する不満が、女性は男性ほどでもないという見方もできるかも知れません。 同様に、人事管理に関しても実利指向が見て取れるようです。たとえば、給与体系に関しては、「業績・能力が大きく影響」が半年間で71.9%から67.9%に減少しており、同時期の時系列で見ても73.2→72.9→69.3→67.9%と、まだ高いとはいえ減少傾向にあります。成果主義も期待ほどではないという現実的で実利主義的な認識が広がっているということでしょう。また、この設問もやはり男女差が極めて大きく(男75.8%、女58.2%)、成果主義が現実には男性に有利に働くという実態を反映していると見ることができそうです。昇格に関しても、「差がつく」が半年間で69.3%から71.5%に増えてはいますが、時系列で見ると81.1→74.8→72.4→71.5%と一貫して低下しています。また、やはり男女差が顕著(男80.0%、女61.5%)です。 残業に関しても、「残業が多くても専門能力が高まる仕事」と「残業が少なく平日でも自分の時間が持てる仕事」の比較では、「残業が多くても」が半年間で36.6%から33.6%に低下しています。裁量労働に関しても、肯定的な回答が半年間で39.6%から36.3%に減っています。これまた男女差が顕著で、「残業が多くても」は男44.2%、女24.3%、裁量労働も男44.5%、女27.7%と大差がついています。残業に関しては前述の「通勤」と同様に、女性の時間を有効活用しようという傾向があらわれていると考えられます。だとすると、裁量労働が女性に敬遠されているのは、裁量労働が結果として長時間労働につながるということを裏付けているとも言えそうです。 ほかにも興味深い結果が出ていますが、もう一つだけ最近注目されている「倫理観」について見てみますと、「上司から自分の良心に反する指示を受けた場合」に「従う」とした人が半年間で33.3%から35.1%に増えています。昨年も半年間で28.8%から32.0%に増えていましたから、どうやら入社後の半年でいささか倫理観が後退することは残念な現実のようです。そのほか、「自分が発注する納入業者からの付け届けや接待」は「問題ない」という回答が44.5%から49.6%に増えており、これまた昨年同時期の44.2%からも増えています。また、「多少価格が高くても環境によい製品、社会貢献している企業のものを購入する」と答えた人も半年間で69.2%から62.7%に減少、昨年同時期の65.3%からもやはり後退しています。これまた、現実的、実利主義的になったといえばそれまでのことかも知れませんが、いささか心配な結果ではあります。ちなみにこの3つの設問もやはり男女差が大きく、それぞれ男39.8%・女29.5%、男44.7・女54.5%、男53.7・女71.8%となっています。「付け届け・接待」に対しては女性の方が寛大だというのは非常に意外な結果だと思うのですが、これはこうした「交際」に対する仕事の上でのかかわり方の違いを反映しているのでしょうか。 最近では新入社員など見たこともないという職場も多いとは思いますが、みなさまの職場の新入社員はいかがですか。 |