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さる6月23日、中央労働災害防止協会(中災防)がホームページに、厚生労働省が作成した「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」にもとづくオンライン疲労度診断のページを開設したところ、利用者のアクセスが集中、中災防のサーバがダウンするというハプニングが起きました。正午の発表直後からアクセスが殺到したということですから、本当に忙しい人がアクセスしていたのかどうかはいささか疑問ですが、いずれにしても仕事による疲労に関心のある人が多いということでしょう。 さて、さすがに今となってはほとぼりも冷めただろうということで、遅まきながら試してみたわけですが、意外にもこれが非常にシンプルな代物で、全部で20の設問に3段階(一部2段階)で答えるだけ、それも直観的にパッパッとチェックしていくだけで診断できるようになっています。厚労省からの発表にも「労働者自身も自らの疲労度を把握・自覚」することが重要なので「簡便に自己診断できる」ものを検討した、とされており、自己診断する以上は、手軽に簡単にできるようにという配慮なのでしょう。 内容をみると、設問は二つに分かれていて、まず最近1か月の自覚症状についての設問が「イライラする」「不安だ」「落ち着かない」「ゆううつだ」「よく眠れないなど13問設定されており、「ほとんどない(0点)」「時々ある(1点)」「よくある(3点)」という3段階評価でポイント化されます。次いでやはり最近1か月の勤務状況について「時間外労働」「不規則な勤務」「精神的負担」「身体的負担」などの7問が設定されており、これは自覚症状と同様の3段階評価が4問、0点または1点の2段階評価が3問となっています。最後に、自覚症状と勤務状況のそれぞれについてポイントによって4段階にクラス分けされ、その2つのクラスの組み合わせによって負担度がやはり4段階で判定されるというしくみになっています。 まあ、設問そのものが適当かということに加えて、設問のそれぞれが同じウェイトになっているのが本当にいいのかとか、あるいは1か月の時間外労働が「ないまたは適当」なのか「多い」のか「非常に多い」のかはどう判定したらいいのかなど、突っ込めばいろいろと疑問もあり、全体として簡単すぎてちょっと心配になってしまいますが、これも大雑把な実態把握を簡便に行なうものであると割り切ればいいのかもしれません(とはいえ、この程度の内容ならわざわざチェックするまでもなく自分で認識できるのではないか?という気もしますが…)。もっとも、このチェックリストは厚労省によれば「試行版」とのことで、中災防のオンライン診断では診断のあとにこのチェックリストを改善するためのアンケートもついています。むしろ、今回この試行版を公開したのは、このアンケートでさらにデータを集めることがおもな趣旨なのかもしれません。 さて、中災防のオンライン診断ページでは、診断結果のさいごに「疲労蓄積予防のための対策」として、いろいろと書いた最後に「あなたの時間外労働時間が月45時間を超えていれば、是非、労働時間の短縮を検討してください。」となっています。 まあ、たしかに労働時間は短いほうが健康にとって望ましいでしょうし、昨年2月に出された「過重労働による健康障害防止のための総合対策」においても「時間外労働が月45時間を超えた場合、事業者が産業医による事業場での健康管理についての助言指導を受ける」ことが推奨されており、あるいはいわゆる36協定についても、1か月の上限時間は45時間以下にするようにという指導が行なわれていますので、それをふまえてこうした書き方になっているのだろうとは思います。 しかし、この1か月45時間という数字、このように一律に適用するにはいかにも安全サイドすぎる感もあります。ごく単純に考えて、週休1日、週48時間制のころは、単純計算で現在より1か月30時間以上は所定労働時間が短かったわけで、その当時1か月15時間の時間外労働というのも珍しくはなかったでしょう。もちろん、当時に較べれば現在の仕事はよりストレスが大きい、ということもあるのでしょうが、それにしても個別の仕事によっては1か月45時間の時間外労働がそれほど大きな負担にもならない、というケースも多々あるのではないでしょうか。たしかに健康保持は重要な問題ですが、しかし実態を見ずに一律に規制するのはいささかオソマツなように思われます。 ちなみに、私自身がこのチェックリストで自己診断してみたところ、結果は「0点」。仕事による負担度は「低いと考えられる」と出ました。もっとも、この自己診断では時間外労働の評価を「ないまたは適当」にしています。現実の数字だけを見ると、私の時間外労働(週40時間を超える分)は1か月45時間ではとてもおさまりません(自分では適当な範囲だと思っていますが)ので、不本意ながら?厚生労働省の見解にしたがって「非常に多い」に変更してやりなおしてみたところ、やはり結果はギリギリで「0点」でした(笑)。まあ、私の場合は鈍感すぎて自覚症状が出ていないということなのかもしれませんが、それにしても、いっぽうで「時間外労働が45時間オーバーでも負担は0点」というチェックリストが作られているのに、そのいっぽうで時間外労働45時間オーバーで一律に産業医への相談を推奨したり、いわゆる36協定の「改善」を指導したりするというのも矛盾だと思うのですが、そうでもないのでしょうか。 |