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社会経済生産性本部は、先月22日に「2003年産業人メンタルヘルス白書」を発表しました。 今年は、昨年企業を対象に行なったものと同じ調査を労働組合に対して実施し、その結果を対比しています。時期が違いますし、対象となる企業・労組にもずれがありますので、必ずしも万全の比較とはいえませんが、全体の傾向に加えて労使の見方の違いも伺われる面白い内容となっています。 まず、労使双方の現状認識ですが、「最近3年間の各労組(企業)における『心の病』の増減傾向」について「増加」と回答したのは、労組では67.2%にのぼったのに対し、企業では48.9%にとどまっており、かなりの開きがあります。社会一般について今後どうなるか、という設問に対しては、「増加」が労組90.9%、企業84.0%でそれほど違いがありませんので、企業サイドに危機感が乏しいというよりは、「自社で心の病が増えている」とはなかなか答えにくい、という心理が働いた結果のように思われます。 企業規模別にみると、大企業でのメンタルヘルスの悪さが目立ちます。「現に心の病で休業(1か月以上)している組合員(従業員)がいるか」という設問には、トータルでは労組で63.5%、企業で58.5%が肯定していますが、組合員(従業員)3,000人以上の大企業に限れば、この数字は実に81.5%、89.7%にはね上がります。特に興味深いのはここでは労組と企業の数字が逆転していることで、企業の数字だけに含まれている「大企業の非組合員≒管理職」が強いストレスにさらされていることが伺われます。ただ、大企業で数字が高くなっているのは、よく言われるような、大企業ほどリストラや成果主義の導入が進み、仕事がきつくてストレスが強いという面のほか、大企業ほど従業員の健康管理体制が整っていて、心の病を認知、把握できているという見方もできると思います。さらにいえば、大企業ほどこうした従業員を在籍させ続ける傾向が強いということの影響も想像することは不可能ではないと思います。 心の病の原因についての設問に対しては、労使の回答に興味深い違いがみられます。すなわち、労組があげた原因は「職場の人間関係」が35.7%でもっとも多く、次いで「仕事の問題」が21.2%、「本人の問題」が16.6%となっているのに対し、企業のあげた原因は「本人の問題」がもっとも多く28.0%、次いで「仕事の問題」が27.7%、「職場の人間関係」が23.4%という結果が出ています。まあ、労使の立場の違いを考えれば、労組が職場や仕事、企業が本人に原因を求める傾向があるのは当然なのかもしれませんが、それにしてもここまで明らかに結果が出たのは注目されます。また、組合員のほうが職場における立場が弱いことも、「職場の人間関係」が多くなる原因のひとつかもしれません。 もうひとつ、「メンタルヘルスが悪化した場合の影響」については、労使ともに「生産性の低下」が最多で、次いで「労災・事故等のリスク発生」となっていますが、その数値は、労組が37.8%、32.8%と接近しているのに対し、企業では53.9%、27.3%と大きな差がついています。この違いについては、企業が生産性を重視して安全を軽視していると見るよりは(まあ、労組に比較すればそうした傾向があることも事実でしょうが)、労組のほうが生産現場など労災・事故のリスクの大きい現業部門を多く含んでいることの影響とみるべきではないかと思います。 こうしてみると、労使の間にはその立場の違いなどによる差はあるものの、メンタルヘルスが重要な課題であるという認識が労使をとわず広がっていることも事実のように思われます。「心の病」に対する偏見は残念ながらまだまだ根強いものがあるといわれ、取り組みも難しいわけですが、各労使がそれぞれの実情に応じて、知恵を出し合っていくことを期待したいと思います。 |