「やむなく進学」組はどこへ(15.8.18)



 この8日、「平成15年度学校基本調査」の結果速報が文部科学省から発表されましたので、その内容をみていきたいと思います。
 まず、高卒者の進路から紹介していきます。平成15年3月の高等学校卒業者は128万2千人で、前年比3万3千人の減少となっています。
 その進路は、大学等が44.6%(前年比-0.2ポイント)、専門学校が18.9%(同+0.9ポイント)で過去最高、就職が16.6%(同-0.5ポイント)で過去最低となっており、「進学も就職もしていない者」は10.3%(同-0.2ポイント)ということになっています。
 次に、大卒者の進路も見てみましょう。平成15年3月の学部卒業者は54万5千人と、前年比3千人の減少です。
 進路は、大学院等への進学が11.4%(前年比+0.4ポイント)で過去最高、就職が55.0%(同-1.9ポイント)で過去最低で、「進学も就職もしていない者」は22.5%(同+0.8ポイント)、「一時的な仕事に就いた者」は4.6%(同+0.4ポイント)で過去最高、ということになっています。
 いずれも合計は100%にならず、高卒で9%以上、大卒でも6%以上が不明となっているようで、誤差がありうることは念頭に置いておかなければなりませんが、いずれにしても高卒・大卒とも就職率が過去最低になっているわけですから、新卒就職が依然として厳しいことは間違いないものといえそうです。
 特に厳しいのが大卒で、就職が1.9ポイントと非常に大きく減少しており、そのうち1.2ポイントまでが「進学も就職もしない」か「一時的な仕事」に流れています。進学に流れたのは0.4ポイントにすぎず、残りの0.3ポイントは不明ということになるのでしょうか。
 その点、高卒については、就職が0.5ポイント減少して過去最低となっているものの、専門学校進学がこれを上回る0.9ポイントの伸びとなっており、大学等進学が0.2ポイント減少したのもあわせてカバーしています。その結果、「進学も就職もしない」も0.2ポイント減少しています(こちらは足し算が合っています)。進学が増えることで就職が減ったのなら、進路が悪化したと考える必要はない、という見方もあるかもしれません。
 ただ心配なのは、たとえばインターネット上で公開されている全高連の「平成12年度新規高等学校卒業者就職問題連絡会議報告事項」にも、「やむなく、就職希望から進学希望に変える生徒が増えている。」との文言がみられるように、就職できないから仕方なく専門学校に進学している人が増えている可能性がある、ということです。
 実際、昭和52年に5%程度だった専門学校進学率は、平成4年頃までは一本調子で上昇し、その後平成10年頃までは16〜17%でいったん頭打ちになっていました。ところが、それがこの2〜3年でまた急速に上昇しています。この最近の上昇が、良好な就職先が得られずに専門学校に進む人が増えていることを想像させます。
 大卒(学部卒)の大学院進学についても、同様の状況が見られます。大学院等への進学率は、50年代なかばまでは4〜5%での推移が続き、そこから一貫して上昇して、平成6年に9%程度でやはりいったんピークを打ちました。その後は平成10年まで微減で推移しましたが、平成11年から再度急速に上昇しています。このあたりの動きが専門学校進学とよく似ており、これまた、新卒就職が不調なために大学院に進む人が増加していることを想像させます。
 これは余談ですが、かつては家計の事情でやむなく進学希望から就職希望に変える生徒が多かったわけですが、今ではそれが逆転しているわけで、不況が新卒者の進路に与える影響というものも様変わりになった感があります。ある意味では、これがわれわれが達成してきた「豊かさ」というものなのかもしれませんが…。
 話を戻して、もし2〜3年前くらいから、このような専門学校や大学院への「やむなく進学」が増えているとしたら、ちょうど今年(来年就職)くらいから、高校・大学の新卒予定者に加えて彼らも就職戦線に加わってくることになります。はたして、彼ら「やむなく進学」組の就職競争力はどうなのでしょうか。進学したのだから向上しているはずという考え方もできますが、「やむなく進学」せざるを得なかったということ自体が、競争力不足を示唆していると考えることもできます。もし後者であるとすると、進学率の高まりは新卒就職の困難を先送りしたことに過ぎないことになり、進学が増えたから就職が減っても気にしなくていい、などといってはいられないことになります。
 いずれにしても、残念ながら企業の募集・採用には目立った増加の動きはありませんから、新卒予定者に彼らが加わった今後の就職戦線は一段と厳しさを増しそうです。行政では、若年雇用対策として、依然としてカウンセリングや職業訓練・能力開発といった供給サイド政策を進めようとしています(その典型が例の「若者自立・挑戦プラン」)が、能力開発という意味では、今後は専門学校や大学院で「能力開発」した人たちがさらに就職市場に参入してくるわけです。そこに行政がさらに能力開発を支援したところで、就職がはかばかしく進展するとはあまり思えません。
 若年雇用問題の重要性を指摘する声は日々高まっています。行政としても、需要サイドの政策、それも効果の薄い新規雇入助成などではなく、労働需要そのものを増加・活性化させる政策への転換を検討すべきではないかと思います。

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